2024.11.6更新
農地を転用するための理由がやむを得ないものであるかどうかが様々な角度から検討されます。
農地転用が許可されるためには、大きく分けて「立地基準」と「一般基準」を満たす必要があります。
以下に「立地基準」と「一般基準」について紹介します。
立地基準とは、農地の営農条件と周辺の土地の市街地化の状況によって、農地を区分けし、その区分けに従って許可・不許可の判断が下されます。
つまり、対象の農地がどの区分にあるのかによって、農地転用が可能か不可能であるのかが変わってきます。
農振法(農業振興地域の整備に関する法律)に基づいて市町村が定めた農業振興地域整備計画において、農用地区域とされた区域内に存在する農地のこと(「青地」と呼ばれる)。
原則、転用は認められません。
ただし、転用予定農地をあらかじめ農用地区域から外しておく(農振除外)をすれば、農地転用できる場合があります。
市街化調整区域にある特に良好な営農条件を備えている農地で、下記の2つの要件を満たした農地のこと。
この農地も原則転用は認められません。
ただし一定の場合には、例外的に転用が認められます。
集団的に存在し、良好な営農条件を備えていて、下記の3つの要件を満たしている農地のこと。
この場合も原則転用は認められません。
ただし一定の場合には、例外的に転用が認められます。
①第三種農地に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地 または②農用地区域内にある農地以外であって、甲種農地、第一種農地、第三種農地以外の農地のこと。
上記の①については、次の3点が要件です。
上記の②の具体的な事例としては、中山間地域に存在する農業公共投資の対象になっていない小集団の農地などです。
この農地は、申請農地以外の農地では転用目的を達成することができないと認められる場合には、許可が認められます。
市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地のこと。
具体的には、下記のような農地のことを指しています。
水管、下水管、ガス管のうち2つ以上が埋設された道路の沿道の区域であって、おおむね500m以内に2つの教育施設、医療施設等の公的施設があるもの
この農地は原則、許可が認められます。
区分 | 転用の許可・不許可 | 転用の難易度 |
農用地区域内農地 | 原則、不許可 | 極難 |
甲種農地 | 原則、不許可 | 難 |
第一種農地 | 原則、不許可 | 難 |
第二種農地 |
申請地以外目的を達すること ができない場合許可 |
易 |
第三種農地 | 原則、許可 | 易 |
一般基準とは、農地の区分に関係なく適用される基準で、土地の効率的な利用の確保という観点から許可・不許可の判断が下されます。
(農地を転用して申請にかかる用途に供することが確実と認められない場合には不許可)
不許可になる具体例として、下記が挙げられます。
(周辺の農地の営農条件に支障が生じるおそれがあると認められる場合には不許可)
不許可になる具体例として、下記が挙げられます。
(地域における農地の農業上効率的・総合的な利用の確保に支障が生じるおそれがあると認められる場合には不許可)
具体的には、地域計画区域内の農地が転用されることで、その地域計画(※1)の達成に支障を及ぼす場合のことですが、以下の場合が該当すると考えられます。
ただし、一時転用の後で担い手が確実に耕作を行う場合や、地域計画の達成のために必要な農業施設として計画に組み込まれたもののために転用する場合は例外となります。
※1 地域計画とは、農業者や地域住民が話し合って策定する、将来の農地利用の設計図のようなものです。おおむね10年先を見据えて、誰がどこの農地を利用するかなどを地域の話し合いに基づいてまとめる計画で、市町村ごとに2025年3月までに策定することとなっています。
※2 地域計画と同時に、「目標地図」を作成することにもなっています。目標地図とは、10年後の農地を1筆ごとに誰が耕作していくのかを示した農地利用の将来図となるものです。よって、担い手は特定されることから、地域計画区域内であれば、この項目に該当することになると思われます。転用する場合は地域計画から除外されることが必要となりますが、非常に時間がかかることが予想されます。
仮設工作物の設置その他一時的な利用に供するために農地を転用しようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作目的に供されることが確実と認められない場合に不許可