2021.9.21更新
個人農家の承継(相続税から)➀ の続きですが、ここでは、相続全般や相続税の納税猶予特例等について述べていきます。
※個別具体的な税務の相談、税務申告の依頼は税理士にお願い致します。
相続の割合は被相続人の遺言が優先されますが、遺言がない場合は以下の法定相続分のとおりになります。
順位 | 法定相続人 | 法定相続分 |
第1順位 | 配偶者と子(直系尊属) | 配偶者1/2 子1/2 |
第2順位 | 配偶者と親(直系尊属) | 配偶者2/3 親1/3 |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4 |
相続人となるはずの子・兄弟姉妹が亡くなった被相続人よりも早く死亡している場合は、被相続人の孫や甥・姪が相続人(代襲相続人)となります。
(孫や甥姪も死亡している場合は、孫の子・甥姪の子が代襲相続人となります。)
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の税務署に対して行います。
納税額がなければ申告の必要はありませんが、配偶者の税額減額・小規模宅地等の特例を適用することで納税額がゼロになった場合や農地等の納税猶予の特例を受ける場合には申告が必要です。
相続税の納税は金銭で一度に行うことが原則です。ただし、一度に納付することが困難な場合は、延納の制度があります。
延納の制度は、相続税額が10万円を超え、金銭で一度に納付することが困難である理由がある場合、その困難とする金額を限度として年賦延納ができる、というものです。延納が認められた場合、利子税と納付の担保が必要になります。
延納でも納付が困難な場合には、その困難な金額を限度として、相続により取得した有価証券や不動産を相続税に充てることができる、物納申請というものがあります。しかし、物納申請が認められる条件は非常に厳しいようです。
農業を営んでいた(特定貸付けを含む)被相続人から相続や遺贈によって農地等を取得して、農業を営んでいく(特定貸付けを含む)場合には、一定の要件のもとに、取得した農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額が納税猶予されます。
農地等の贈与税納税猶予制度の適用を受けていた場合、贈与者に死亡によって贈与税は免除され、贈与を受けた農地等は贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象とされますが、このときにも相続税納税猶予制度の適用を受けることができます。ただし、相続時精算課税に係る贈与によって取得した農地等は、相続時納税猶予制度の適用を受けることができません。
相続税納税猶予制度の適用を受け、継続していくためには、その農地等で農業を続けていく必要があります。相続税額の圧縮策として安易に考えて利用すると、のちに利子税もつけて多額の相続税を納税しなければならない事態に陥る可能性があるため、十分な検討が必要です。
(ア)被相続人の要件
(イ)農業相続人の要件
(ウ)農地等の要件
(ウ)の要件が意味するところは、それぞれの相続人の間で争いになり、農業承継者が農地等を相続することが相続税の申告期限までに合意することができなかった場合は、適用できない、ということです。争いになると、農業の継続にも大きな影響を及ぼすことになります。
※営農時困難貸付けとは、高度な精神障害、身体障害等のやむを得ない事情によって営農を継続することができない場合に、当該の農地等を貸し付けても納税猶予が打ち切られない制度です。営農時困難貸付けをするときには、所定の手続きが必要です。
この制度を受けるためには、相続税の申告書に一定の書類を添付して期間内に提出します。このとき、農地等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。
また、この制度の適用を受けた人は、申告から3年ごとに引き続きこの制度を受ける旨及び特例農地等に係る農業経営に関する事項を記載した届出書(継続届出書)を提出する必要があります。
以下の場合に該当すると、農地等納税猶予税額の全部または一部に利子税を加算して納税しなければなりません。
上記1に関して、使用収益する権利には地上権が含まれていますが、区分地上権は含まれていません。 区分地上権を設定しても、当該の農地等を、納税猶予を受けている人が引き続き耕作をするときは、納税猶予が打ち切られることなく継続されます。
農地に区分地上権を設定できることによってソーラーシェアリングを行うことが可能になりました。ただし、支柱部分は転用が必要なため、納税猶予の対象からは除外されます。
以下の場合に該当すると、農地等納税猶予税額は免除されます。
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