2020.5.26更新
このページを見ていただいている方は、「農地」についての手続きについて、情報収集をすることが目的だと思います。
しかし、まずは問題となっている土地が「農地」にあたるのかどうか、を知ることが大事です。なぜなら、農地法という法律の対象となっているのは「農地」に限られているので、「農地」でないならば、農地法の手続きを考える必要がなくなるからです。
ここでは、「農地」とはどのような土地を指しているのかを解説します。
「農地」かどうかは、登記簿上の地目(田、畑)で判断するわけではありません。「耕作の目的に供される土地」を農地法では、「農地」としています。
では、「耕作」とは何だろう、というちょっとした疑問が出てきます。
通達によると、「耕作」とは、「土地に労費を加え肥培管理を行った作物を栽培すること」となっています。要するに、土地に対して、手間暇やお金をかけて、肥料をあげたり、草刈りなどの管理をして、作物を栽培することです。
また、「耕作の目的に供される土地」には、現在耕作している土地のほかに、現在耕作していなくても、耕作しようとすればいつでも耕作できる土地(休耕地、不耕作地)も含むとしています。
以上をまとめると、「農地」とは、登記簿で判断せずに、実際に肥料や草刈りなどの管理を行って作物を栽培(これを耕作といいます)している土地と、現状では耕作をしていないけれども、いつでも耕作ができる土地、ということになります。
つまり、土地の現在の状況から、農地かどうかを判断することになります。
農地 (現在の状況で下記にあたるもの)
ただし、家庭菜園や学校の教育目的の農園は、「農地」ではありません。
これらは、普通、面積が狭く、他の土地の一部と考えられ、農地として独立したものとみなすことができません。耕作は行われているけれども、その土地の本来の使いみちではなく、一時的なものであるためです。
よって、庭の家庭菜園をやめて、その敷地を駐車場にしようとするとき、農地法の許可はいらないということです。
登記簿上は、田や畑であるけれども、何かの建物が立っていたり、森になっている場合、農地ではないから自由に譲渡などができると考えるかもしれません。しかし、実際はそんなに簡単ではありません。農地ではないので、農地法の許可は必要がない、というだけです。
普通、不動産の取引があった場合は、譲り受けた側はその不動産を登記します。このとき、宅地や雑種地などであれば、通常の登記申請をすればよいのですが、地目が田や畑の場合は、農地法の許可書などの提出を求められます。
登記を担当する法務局の職員は、書類でしか判断しないためで、農地法上の「農地」にはあたらないと説明してもだめです。
この場合は、役所に非農地証明願いをして、登記簿の地目を田や畑から、別の地目に変更することが必要です。(ただし、すべての場合でこのようになるわけではありません。)
現在の状況が農地であったり、登記簿の地目が田や畑であれば、まずは役所に相談して、どのような手続きが必要になるのか確認をしていくことが肝心です。
自分で判断すると、長い時間をかけて書類を集めたり作ったりしたけれど、いざ書類の提出をしようとしたら、全く別の申請をしなければいけなかった、ということになるおそれがあるので、くれぐれも気を付けてください。