2018.8.16
「夕張メロン」、「鳥取砂丘さっきょう」、「三輪素麺」。
これらは、地域と産品が結びついた名称で、私たちにとってとてもなじみがあるものです。
このような生産地と結びついた特性を有する農林水産物・食品等の名称を品質基準とともに保護することを目的とした「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が平成25年に施行されました。
今までも地域特産の農産物に「地域名+商品名」をつけて、地域ブランドを商標登録することで、他人が勝手に使用することを防ぎ、登録した地域団体が独占的に使用することのできる地域団体商標制度があり、現在に至っても大いに活用されています。
しかしながら、この制度では、品質を守るのはあくまでも生産者の自主性に任せられています。
また、商標権の侵害への対応は、訴訟などによる自力救済のため、負担がありました。
このように、品質管理や商標権侵害への対応に課題があります。
そこで、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」の成立によって、地理的表示保護制度が誕生しました。
類似の制度は、国際的にも広く導入されています。
登録団体には、登録産品の品質管理のため、生産工程管理業務が義務付けられます。
一方で、国が品質のチェックを行うとともに、品質が守られているものについては登録商標(GIマーク)の使用を認めることによって、海外でも真の日本の特産品として、差別化されることになります。
また、不正な地理的表示の使用は国が取締りを行います。
さらに、商標権のように更新の手続きは必要なく、取り消されない限りは登録が存続します。
地理的表示制度により、生産されたものが正しく評価され、他とは差別化されることで価格競争に巻き込まれなくなることから、生産者側にとっては収入の増加というメリットがあります。
消費者側にとっても正しい情報によって商品を選択することができるというメリットがあります。
ただし、地理的表示に登録されると、その名称は地域共有の財産となるために、生産者が独占排他的に使用することができなくなります。
したがって、地理的表示の申請に際してはメリットと留意点の検討が必要です。