ここでは、ソーラーシェアリング(営農型発電設備。つまり、太陽光発電設備直下で耕作をするもの)について言及しています。
メガソーラーなどの太陽光発電のみの事業については、ここでは扱っていません。
2018.10.29更新
農地に支柱を立てて太陽光発電設備等を設置しようとする場合(営農型発電設備、ソーラーシェアリング)の転用許可基準を国が定めています。
そして、この支柱部分について、農地法上の一時転用許可の対象として許可・不許可の判断がされます。
以上のことは、農林水産省の通知「柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(平成30年5月15日)で示されています。
営農型発電設備のための一時転用許可の要件は、下記の4点のようなものです。
区分 | 期間 |
(1) 担い手が、自己所有の農地または賃借権などの 使用収益する権利が設定されている農地を利用する場合 (担い手とは次のいずれかの者を指しています。 ➀効率的で安定的な農業経営を行う者、 ②認定農業者、 ③認定新規就農者、 ④将来法人化して認定農業者になることが見込まれる集落営農) |
10年 |
(2)荒廃農地を再生利用する場合 | |
(3)第2種農地または第3種農地を利用する場合 | |
(4)上記(1)から(3)以外の場合 | 3年 |
支柱は、簡易な構造で容易に撤去できるものとし、申請にかかる面積が必要最小限で適正と認められること。
支柱下部の農地における営農の適切な継続が確実であること。
なお、➀営農が行われていないとき、②パネル下部の農地の単収が、同地域の平均的な単収と比較して2割以上減少しているとき、③パネル下部の農地において生産された農作物に著しい劣化が生じているときは、「営農の適切な継続」とはなりません。
パネルの角度、間隔等からみて農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっており、支柱の高さ、間隔等からみても農作業に必要な機械等を効率的に利用して営農するための空間が確保されていると認められること。
(支柱の高さは2m以上を確保すること。)
支柱の位置等からみて営農型発電設備の周辺の農地の効率的な利用、農業用排水施設等の機能等に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
特に、農用地区域内農地では次のことに注意すること。
➀農用地の集団化、農作業の効率化その他農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
②土地改良事業等の施行や農業経営の規模の拡大等の施策の妨げにならないこと
転用事業者について、支柱を含め営農型発電設備を撤去するのに必要な資力および信用があると認められること。
一時転用期間が満了した場合、再度、一時転用許可を行うことができますが、あらためて要件を満たすことが必要です。
この場合、それまでの転用期間中におけるパネル下部での営農状況を十分に考慮して、総合的に判断されます。
許可申請のためには、少なくとも次の書類が必要とされています。
一時転用許可を受ける際には、条件が付されます。
例えば、営農型発電設備の下部の農地において営農の適切な継続が確保されること、生産された農作物の状況を毎年報告すること、報告内容について必要な知見を有する者の確認を受けることなどです。
具体的には、作物の収量や品質、収穫されなかった場合ではその理由と生育状況などが該当します。
これらの報告を元に、都道府県などが必要な措置を講ずるように指導を行います。
必要な措置が講じられなければ、営農型発電設備を撤去するように指導を行います。
営農型発電設備の設置者と営農者が異なる場合は、支柱設置にかかる転用許可とともに、下部の農地について区分地上権設定のための農地法3条許可が同時に必要になります。
区分地上権の期間は、許可要件に定めれらている10年または3年でなければなりません。
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