2024.9.6
土地の登記事項証明書の「地目」の欄にある畑・田からそれ以外の地目(例えば、宅地や雑種地、山林)に変更する場合、非農地証明書(現況証明書)が必要となる場合があります。
ここでは、非農地証明(現況証明)についてご案内します。
なお、非農地証明を現況証明という言い方をすることもありますが、このページでは非農地証明に統一してご案内します。
非農地証明とは、農地として利用されていない土地について、農業委員会が非農地であると証明することです。
主に以下のようなときに非農地証明書が必要とされます。
非農地証明書があれば、上記のような場合は、当初の目的を達成できるかもしれません。
まず、登記地目を変更しなければいけない理由をご案内します。
農林水産省からの通知(処理基準)より、農地とは、「現況によって判断するのであって、土地の登記簿の地目によって判断してはいけない」とされています。
※地目とは、土地の用途のことで、土地の登記事項証明書(登記簿)の該当欄に記載されています。「田」や「畑」であれば、農地です。
よって、現在の土地の状況が農地である土地が、農地法の規制の対象となります。
ただし、農地であるか否かを自分で判断することは難しいため、農業委員会によって客観的に判断してもらい、非農地であることを証明をしてもらうことができます。
非農地であると証明されたときは、農地法の規制からはずれ、農地法の許可や届出は不要となります。
しかし、地目の変更登記は自動的に行われることはないため、自らで申請をする必要があります。
なお、不動産の登記手続きは、農地法の考え方とは異なり、現況ではなく、登記地目によって判断されます。
そのため、地目が農地から変更されていなければ、所有権の移転登記申請はできません。
そして、不動産登記法第37条第1項によると、地目の変更があったときは1か月以内に変更の登記申請をしないといけないとされています。
土地の登記地目を農地(田・畑)から変更するためには、地目変更登記の申請を法務局に対して、書類を提出して行います。
そして、審査を経て変更されます。
ただし、審査のために、以下のいずれかが行われます。
上記1において、農地転用許可を得ている場合は農地転用許可証明書を、それ以外の場合は非農地証明書を提出することになります。
非農地証明の交付は、法律に規定はなく、行政サービスとして行われていますが、農林水産省からの通知(運用通知)をもとにそれぞれの自治体で基準を作成し、運用されています。
運用通知では、非農地と判断されるために以下のいずれかに該当する必要があります。
※A・Bのいずれの場合でも、基盤整備事業などが計画されていないことが必要です。
それぞれの自治体には、上記以外にも基準があり、例えば次のようなものです。
以上のように、それぞれの自治体によって若干基準は異なるため、農業委員会に事前に確認をしておいてください。
なお、自治体によっては、非農地証明というもの自体を行っていないところもあります。
非農地証明書の交付は、極めて特別な場合に認められるものです。
もし、違反転用があった場合、原則として、農地に復元してから再度、農地転用の申請が必要となります。(もしくは、追認の農地転用の申請です。)
ですから、非農地証明書が後でもらえるからということで、違反転用は決して行わないでください。 自治体によっては、違反転用の場合には非農地証明をしないところもかなりあります。
そして、違反転用をした場合の罰則は、3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金です。
申請では、主に以下の書類を農業委員会に提出します。
(それぞれの自治体によって必要な書類は異なるため、事前に農業委員会に確認してください。)
申請から、およそ2週間~4週間で交付されます。
(それぞれの自治体によって時期は異なるため、事前に農業委員会に確認してください。)
非農地証明が必要な場合と、申請についてご案内しました。
亡くなった親が違反転用してしまっていて、自分は今まで知らなかったというときも利用できる可能性はありますので、もし非農地証明が必要というときは、参考としてください。
また、そのようなときは農地の専門知識が必要です。
幣事務所であれば、行政書士が役所との間に立って交渉をいたしますので、遠慮なさらず、お問い合わせください。